【実際、他のみんなは投資してるの？】

今まで何度もNISAや投資についてお話しし、少しでも早く始めた方がいいこともお伝えしてきました。

実際のところ、他のみんなは投資しているのでしょうか？

今回は、日本証券業協会　株式会社日本取引所グループが2022年にまとめた『2021年度　国民の NISA の利用状況等に関するアンケート調査報告書』（https://www.jsda.or.jp/shiryoshitsu/houkokusyo/files/nisa_survey_2021.pdf）を基にお話したいと思います。
この調査の目的は以下の通りです。
① 2014年1月のNISAの開始から8年、2018年１月のつみたてNISAも開始から４年が経過していることを踏まえ、NISAが国民にどのように利用されているか、また、どのような属性の者が利用しているか等について、情報の収集を行うこと。
② 家計金融資産の過半が現預金で保有されている現状を踏まえ「貯蓄から投資へ」の流れを促進させ、より安定的な資産形成を実現させる為の施策の検討に活用する観点から、NISAに関する事項にとどまらず、現在投資を行っていない層まで広く調査対象に含めた上で、投資全般に関する事項についても調査することで、幅広い情報の収集を行うこと。
③ 上記の調査により得られた情報の分析を通じて、税制改正要望の基礎資料とすること。

『投資経験のある人はどんな投資方法を選んでいるのか？』
保有経験のある金融資産と現在保有している金融資産は？（図１）



有価証券（株式、投資信託、債券、ETF、REIT）について、過去投資・保有経験がある人は全対象者の42.7%（金融庁調査では32.7%）。
逆に言うと約6割の人は有価証券での投資経験がないということになります。
上記の有価証券を現在保有している人は全対象者の35.7%（金融庁調査では24.9%）。
有価証券での投資経験がある人のうち約6割弱の人はやめてしまっていることになります。
保有期間の調査では、株式は「5年以上」が52.8%で過半数ありましたが、平均すると42ヶ月。投資信託の保有期間は、株式よりやや短い傾向で「5年以上」が43.1%。平均すると40ヶ月でした。
3年半ほどしか保有しないで売ってしまったということですね。
有価証券でも「株式」は投資・保有経験31.9%、現在保有25.6%、「投資信託」は投資・保有経験26.5%、現在保有20.8%であり、この2つが代表的なものとなっています。

『NISAを始める理由は？』
NISA口座開設目的は？（NISA口座開設者ベース）（図２）



NISA口座を開設した目的は「老後の資金を蓄えるため」が最も多く「預貯金だけでは貯蓄として不十分だから」「余剰資金の運用のため」といった目的が続いています。
2,000万円問題が老後資金について考えるきっかけにもなったのでしょう。
「老後の資金を蓄えるため」は年齢では40代～50代で特に多く、世帯金融資産が300万円未満の層で多かったです。
老後が見え始めるこの年代では、子どもが大学に進学したり、住宅ローンの支払いなどで、思うように貯蓄ができなかったのかも知れませんね。
「預貯金だけでは貯蓄として不十分だから」は20代など若い層で多く「余剰資金の運用のため」は70代など高年齢層で多かったようです。
何にしても、超低金利時代に預貯金ではお金が殖えないということも浸透してきているのではないかと思えますね。

『NISA口座を作ったものの金融商品を実際に購入した？』
NISA口座での金融商品購入経験とNISA口座での積立投資実施率は？（図３）



NISA口座開設者のうち「金融商品購入を実施したことがあり、現在も金融商品を保有している」人が69.6%（金融庁調査では60.8%）。「実施したことはがあるが、現在は金融商品を保有していない」（9.1%)を含めると8割近くが金融商品購入経験ありでした。
NISA口座開設者のうち、NISA口座内で積立投資の実施経験を聞くと「現在も積立投資を実施している」が45.3%（金融庁調査では19.6%）でした。積立投資経験は53.6%（金融庁調査では25.6%）でした。
ここで注目すべきは「実施したことがあるが、現在は金融商品を保有していない」「積立投資を実施したことがあるが、現在は実施していない」という人が増加してしまっているということです。折角、口座を作ってやり始めたのになぜやめちゃうんでしょうか？SNSなどでも複利の効果とか長期投資とか叫んでいるのにです。

『いい制度なのになぜNISA口座を作らないのでしょうか？』
NISA口座を開設しない理由は？（NISA口座非開設意向者ベース）（図４）



NISA口座を開設したくない理由は「そもそも投資をする気がないから」が最も多く、次いで「制度が複雑でよく分からないから」となる。このうち「そもそも投資をする気がないから」は年齢が高い層で特に多く「制度が複雑でよく分からないから」は年齢が若い層で多いです。
金融庁調査と比較すると「そもそも投資をする気がないから」は減少したものの「制度が複雑でよく分からないから」が増加しています。
高齢者の方々は、過去の高金利時代の経験で、根強い預貯金崇拝志向が植え付けられているのかも知れませんね。若年層の方々は、SNSなどで情報を得られますが、情報が多い分、何を信じていいかがわからないということもあるのでしょうか。
新しいNISAは、現行NISAよりはわかりやすい制度になりますが、商品がかなり増えますから、投資先の選択が難しくなるのかも知れませんね。

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