【患者申出療養とは?自由診療・先進医療との違いをわかりやすく解説】

最近では「先進医療」「自由診療」だけでなく、「患者申出療養」を受けた際に給付金が支払われる特約が医療保険やがん保険に付加できるようになってきました。
「先進医療」は聞いたことがあっても、「患者申出療養って何?」という方は多いのではないでしょうか。
「患者申出療養」は、標準治療では対応が難しい病気に苦しむ方々が、自ら治療を提案し、それを国が審査・承認することで、保険診療と併用できるようにする制度です。この記事では、患者申出療養の概要とともに、「自由診療」や「先進医療」との違いについてもわかりやすく解説します。
1. 患者申出療養とは?
(参考:厚生労働省 患者申出療養制度)https://www.mhlw.go.jp/moushideryouyou/
患者申出療養とは、厚生労働省が2016年から導入した制度で、患者自身の申出を起点に、公的保険が適用されない治療を保険診療と併用して受けることができる制度です。将来的に保険適用につなげるためのデータ、科学的根拠を集積することを目的としています。
新しい医薬品や治療法など、まだ国による承認を受けていないが有望な医療技術を、一定の条件下で受けられるようになります。
令和7年1月1日現在、患者申出療養として実施されている治療は、がん治療など6種類です。
(参考:患者申出療養の各技術の概要について|厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/kanja/kikan03.html
2. 患者申出療養は保険適用になる?
治療全体が保険適用になるわけではありません。
保険適用できる部分(検査や入院費など)は通常通り保険診療として扱われ、保険が適用されない先進的な治療部分は患者の自己負担となります。これは保険適用治療と適用外治療を併用する混合治療が原則禁止されているためです。ただし、高額療養費制度の対象になるのは保険適用部分のみです。
3. 患者申出療養の対象になる医療
対象となるのは、国内未承認または適応外使用の医薬品や医療機器、または新しい治療技術などです。
ただし、国が倫理性・安全性・妥当性を審査して承認した場合のみに限られます。
4. 患者申出療養の対象になる人
すべての患者が対象ではなく、標準治療が存在しない場合や、標準治療では効果が見込めない患者が対象です。
また、患者の申出に基づき、主治医や中核病院の同意と連携が必要となります。
(参考:患者申出療養の制度設計について|厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001158406.pdf
5. 患者申出療養のプロセス
5.1 主治医と中核病院の連携
主治医が必要性を判断し、中核病院(国が指定)と連携して申請の準備を行います。
なお、患者申出療養相談窓口を設置している病院もあり、患者はこれらの窓口設置病院でも相談が可能です。患者申出療養相談窓口を設置している病院は平成28年3月15日現在で84病院です。
(参考:臨床研究中核病院及び特定機能病院に係る患者申出療養相談窓口設置状況一覧表 |厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000125924.html
5.2 治療方法についての適合性確認
患者から申出のあった医療技術について、患者さんのその時点の病状に対してきちんと効く可能性が高いか(有効性)、また大きな副作用の心配などがないか(安全性)などについて、科学的根拠に基づいているか、保険収載をめざした試験計画になっているか、国の会議で確認の上で、実施できるか決定されます。
5.3 国への申し出・審査
厚生労働省の審査会が内容を審査し、安全性・妥当性が認められた場合に限り、治療が可能になります。
5.4 申し込みから治療までの期間
患者さんが臨床研究中核病院を通じて国に書類を提出いただいてから、実施が認められるまでの目安の期間は約6週間です。患者申出療養の書類を国に提出いただく前には、本当にその治療がご自身の病気、病状にとってよい治療法かを調べる期間、その治療法をどのように使うかや計画などを定める期間などが必要となりますから注意が必要です。
6. 患者申出療養と自由診療との違い

6.1 自由診療の未承認治療は公的保険の対象外
自由診療とは、公的な医療保険が適用されない治療をいいます。自由診療では、全ての治療費が全額自己負担になります。仮に、自由診療の中に保険適用の治療が含まれていたとしても、混合治療は原則禁止されていますから、治療全体が自由診療となり費用は全額自己負担になります。
6.2 患者申出療養は保険適用部分の治療の自己負担割合を負担
保険診療と併用可能なため、自己負担を一部に抑えることが可能です。
例えば保険適用治療100万円、患者申出療養による保険適用外治療100万円とすると、保険適用治療においては自己負担3割なら100万円×3割=30万円ですから、自己負担は30万円+100万円=130万円となります。

6.3 保険適用部分は高額療養費制度が適用になる
治療費が高額になった場合も、一定以上の負担は軽減されます(ただし自由診療では適用なし)。
(参考:高額療養費制度を利用される皆さまへ)https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
6.4 自由診療と患者申出療養で対象となる治療が異なる
患者申出療養は国の審査が必要な限定的な制度です。一方、自由診療は治療内容に制限はありません。美容整形やレーシック、歯科矯正などは一般によく知られている自由診療です。 安全性や有効性について国に認められていないものの、新しい医療技術や薬を使った治療を受けられます。
7. 患者申出療養と先進医療との違い
7.1 先進医療は医療技術ありきの治療法
先進医療は、厚労省が認定した特定の技術で、全国の指定医療機関で受けられる治療です。先進医療は、医療機関が起点となり、先進的な医療を実施するものであったのに対し、患者申出療養は、患者さんの申出が起点となって未承認薬等の使用について安全性が一定程度確認された上で、身近な医療機関において実施できる仕組みであり、困難な病気と闘う患者さんの思いに応えるものです。令和7年4月1日現在、先進医療は26種類で2399の医療施設で実施されています。
(参考:先進医療を実施している医療機関の一覧|厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/sensiniryo/kikan02.html
7.2 先進医療にかかる費用は保険適用外
先進医療費用は全額自己負担ですが、保険診療との併用が可能で、高額療養費制度も一部利用できます。先進医療は混合治療ではあるものの、保険適用部分については自己負担割合までの負担ですむ点においては、患者申出療養と同じです。
まとめ
「患者申出療養」は、まだ承認されていない治療に望みをかけたい患者さんにとって大きな希望となる制度です。自由診療や先進医療とは異なり、患者主導で治療を提案し、保険診療と併用ができる点が最大の特徴です。
その他、治験での治療もありますので、患者さんやご家族は情報収集が重要ですね。
(参考:治験情報の公開 | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)https://www.pmda.go.jp/review-services/trials/0019.html
「先進医療」「患者申出療養」「自由診療」については、医療保険やがん保険の特約でもカバーできることがあるため、備えとして検討する価値があると思います。
このコラムが、皆さんの人生にとって有意義なものになれば幸いです。
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